樹氷柄の着物
2020年 08月 29日
8月も残すところ数日となった。
今年はコロナ禍のお蔭で、
お正月の数回以外、着物を着ることがなかった。
3月から研究会もお茶会もすべて中止となっていたからね。
毎週着物を着るのは辛いけど、
半年もの間、着物の袖を通さないのも寂しいものだ。
このまま秋になっても着物を着る機会はないのかも~?
8月の「ガラスと氷リレー」で
皆様の素晴らしい品々を拝見していて、
ふと、着物に氷っぽい柄があったことを思いだした。
雪輪や雪の結晶などの意匠の着物はよく見るけれど、
「氷」というのはちょっとめずらしい気がする。
実際はけっこうしっかりとしたブルー地に白い柄の臈纈染(ろうけちぞめ)。
この文様染はインドで生まれ、中国を経て日本に伝わり、
飛鳥・奈良時代に盛行したというもの。
臈纈染は木版に蜜蝋をつけて文様を写し、
染め液に浸して防染した後、熱で臈を除いたもの。
現代にもその技法はちゃんと伝わっていて、
暖簾や敷布、風呂敷などに使われているという。。
ちょっと昭和の香りがするでしょ?
そう、これは義母が残した着物だった。
義母は大正末の生まれ。
美濃の庄屋の末娘で父親は裁判所勤務ということで、
子供の頃から何不自由なく育ったらしい。
戦争中は陸軍の姉夫婦について満州に遊学し、
帰国後、戦死した兄にかわり跡取り娘として医者の義父と結婚。
戦後は御多分にもれず、つつましい生活を余儀なくされたけど、
子供の頃からの裕福な暮らしと満州での海外暮らしで、
良いものを見る目は培われていたと思う。
私がお嫁に行った頃は、
もう普段は洋服が多かったけど、
特別な日にはもちろん着物をしゃきっと着て、
洋服もちょっとモダンな雰囲気のものを着ていた。
義母が亡くなった時、お棺に入れる着物を探していたら、
可愛い花柄の着物がたとう紙に包まれていて、
「好きなきもの」と書かれていた。
義父と出会った頃に着ていたのか、何かのお祝いの席に着たのか、
きっと楽しい思い出のある着物だったのだろう。
お棺にはその着物を入れてあげた。
厳密にいえば、この臈纈染は氷柄ではないかも知れない。
しかし私にもこの柄は「樹氷」に見え、一目で着たくなった。
とはいえ小柄な義母の着物をそのまま着るのは無理。
そこでコートに直すことにした。
8月の最後に思い出した樹氷柄のコート。
義母の残したその他の着物や帯もコートや付け帯にして、
もう少し楽しませてもらおう。
9月は義母の17年目の祥月にあたる。
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maria-12 at 2020-08-29 19:17
こんにちは。
ご主人様のお母さまを偲ぶ気持ちがにじんでいて、しみじみ胸を打たれました。
樹氷の柄というのは珍しいですね。
仕付け糸が付いたままというのは、一度も袖を通されなかったのですね。
コートに仕立て直して、お召しになれば、新しい命が吹き込まれますね。
形見の品も、こうして袖を通すことで亡き人の想いが蘇る。
そこには受け継いだ人の愛を感じます。
ご主人様のお母さまを偲ぶ気持ちがにじんでいて、しみじみ胸を打たれました。
樹氷の柄というのは珍しいですね。
仕付け糸が付いたままというのは、一度も袖を通されなかったのですね。
コートに仕立て直して、お召しになれば、新しい命が吹き込まれますね。
形見の品も、こうして袖を通すことで亡き人の想いが蘇る。
そこには受け継いだ人の愛を感じます。
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Grace-K52 at 2020-08-29 21:50
mariaさん コメントありがとうございます。
義母は息子二人だけで娘を持たなかったので、次男のお嫁さんは楽でした。何しろ年に数回帰省するだけだったから、「よそ行き」なわけです。笑
私は大らかな義母の性格が好きだったので、今でも夫と義母の思い出話を楽しめます。
着物の良さって、多少手を加えれば次世代に伝えていけることかもしれませんね。まあ、着る機会や場所がなければ無用の長物ですけど。
TVCMで「5年着なければ着ないよ。売っちゃえ」というのがありますが、見るたびに「そうだ!」と「もったいない」の両者の間で気持ちが揺れます。
義母は息子二人だけで娘を持たなかったので、次男のお嫁さんは楽でした。何しろ年に数回帰省するだけだったから、「よそ行き」なわけです。笑
私は大らかな義母の性格が好きだったので、今でも夫と義母の思い出話を楽しめます。
着物の良さって、多少手を加えれば次世代に伝えていけることかもしれませんね。まあ、着る機会や場所がなければ無用の長物ですけど。
TVCMで「5年着なければ着ないよ。売っちゃえ」というのがありますが、見るたびに「そうだ!」と「もったいない」の両者の間で気持ちが揺れます。
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gallery-asaba at 2020-08-30 22:30
ガラス、氷リレーに再度ご参加下さいまして、ありがとうございます。
そうですよね、雪輪や雪の結晶の模様は見かけますけれど、氷は未だ見た事がないです。
とっても珍しいですね。
つくづくタイトルに氷を付け加えておいて良かったと思います。
モダンなお着物ですね!
お義母様は、相当お洒落な方でいらしたのですね。
素敵なコートになるでしょうね。
着物の買取は、情けなくなるくらいお安いと聞いています。
馬鹿馬鹿しくなって、売る事をやめたというお話も何度か聞いています。
お義母様はGraceさんがその様に活かして着て下さる事を、とても喜んでいらっしゃる事でしょうね。
そうですよね、雪輪や雪の結晶の模様は見かけますけれど、氷は未だ見た事がないです。
とっても珍しいですね。
つくづくタイトルに氷を付け加えておいて良かったと思います。
モダンなお着物ですね!
お義母様は、相当お洒落な方でいらしたのですね。
素敵なコートになるでしょうね。
着物の買取は、情けなくなるくらいお安いと聞いています。
馬鹿馬鹿しくなって、売る事をやめたというお話も何度か聞いています。
お義母様はGraceさんがその様に活かして着て下さる事を、とても喜んでいらっしゃる事でしょうね。
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mamako48722 at 2020-08-30 23:55
お早う御座います。
着物にまつわるお義母様の思い出、お義母様の着物姿が目に浮かぶようです。
「好きなもの」を着て、向こうへ旅立たれたお母様は、きっとその着物を着た頃の若いお姿だったかも知れないですね。
写真でははっきりとした色はわかりませんが、樹氷柄のコート、是非立ち姿を見せてくださいね。
着物にまつわるお義母様の思い出、お義母様の着物姿が目に浮かぶようです。
「好きなもの」を着て、向こうへ旅立たれたお母様は、きっとその着物を着た頃の若いお姿だったかも知れないですね。
写真でははっきりとした色はわかりませんが、樹氷柄のコート、是非立ち姿を見せてくださいね。
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Grace-K52 at 2020-08-31 08:12
asabaさん コメントありがとうございます。
リレーの最後に滑り込みこみました。
本当の意味では氷ではないのかも知れませんが「樹氷」と母は感じたらしいので、
氷ということで参加しました(^^♪
地色はもっと濃い友禅染のブルーなのでコートにしても結構派手ですが……。
昔からの技法なのに、モダンに見えるって面白いですね。着物も昔のもののほうが派手な色柄が多いような気がします。
ほんとに着物の買い取りは安いです。昔、安く売ってしまった着物のことを今頃思い出して、
残念に思うこともあります。まだ着れたのに…なんて。
形見を大事にするのは、供養になると思っています。
リレーの最後に滑り込みこみました。
本当の意味では氷ではないのかも知れませんが「樹氷」と母は感じたらしいので、
氷ということで参加しました(^^♪
地色はもっと濃い友禅染のブルーなのでコートにしても結構派手ですが……。
昔からの技法なのに、モダンに見えるって面白いですね。着物も昔のもののほうが派手な色柄が多いような気がします。
ほんとに着物の買い取りは安いです。昔、安く売ってしまった着物のことを今頃思い出して、
残念に思うこともあります。まだ着れたのに…なんて。
形見を大事にするのは、供養になると思っています。
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Grace-K52 at 2020-08-31 08:22
紅葉さん コメントありがとうございます。
「好きなきもの」と書かれた、たとう紙に包まれた着物を見た時はちょっと驚きました。
けっこう派手な花柄だったんです。若い時の着物ですね。
義母は若い時の姿で旅立ったと思っています。
だから、もう着られなくなった(細くて入らない!)お気に入りの洋服もちゃんと取っておいて、旅立ちの時に着せてもらおうかしら、なんて私も思っています。笑
「好きなきもの」と書かれた、たとう紙に包まれた着物を見た時はちょっと驚きました。
けっこう派手な花柄だったんです。若い時の着物ですね。
義母は若い時の姿で旅立ったと思っています。
だから、もう着られなくなった(細くて入らない!)お気に入りの洋服もちゃんと取っておいて、旅立ちの時に着せてもらおうかしら、なんて私も思っています。笑
by Grace-K52
| 2020-08-29 17:02
| さりげない日々
|
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